白 猫 カイル 正体。 オーブは心霊写真か? オーブの正体、色の種類と意味まとめ

犬や猫のお尻に黄色いゴマのようなつぶつぶが!その正体は瓜実条虫です

白 猫 カイル 正体

インターネット 巨大タランチュラの正体は、まるかさんの愛猫・むくくん(4歳/オス/スコティッシュフォールド)。 まるかさんは5月3日、「白タランチュラかな?」というコメントと共に、むくくんの写真を4枚投稿しました。 この投稿には、約3万件のリツイートと、12万件以上のいいねが付き、「待ち受けにしたい」「むくんちゅら可愛い」「こわい~w」など、多くのコメントが寄せられています。 まるかさんに話を聞いたところ、「似たような格好は普段からよくしますが、クモの脚っぽく広がっているのは初めて見ました」とのこと。 筆者も以前、猫を飼っていましたが、こんな格好は見たことがありませんでした。 「面白いけどびっくりしました……」と、初めて見た時の感想を話す、まるかさん。 「タコ!?イカ!?クモ!?と、ねこ以外のいろんな生物が浮かびましたが、最終的にタランチュラで落ち着きました」と、楽しそうに振り返っていました。 まるかさんによると、この格好をしている時のむくくんはリラックスしているのだとか。 「優雅に毛づくろいをして、その後、寝ました」と教えてくれ、気持ち良さそうに眠る、むくくんの写真も送っていただきました。 白タランチュラで眠るむくくんも可愛いですね。 ちなみに下の写真が、むくくんがタランチュラになる前にしていたポーズで、この写真の前足と後ろ足が広がっているのが、今回の写真とのことです。 次はどんな形態にむくくんが進化するのか、楽しみですね。

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猫の体に白い粉状のものが・・・

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2019年11月16日 先ごろ撮影した写真に、不思議な光の玉が写っていた。 夏に訪れたチベットの寺院。 薄暗い本堂の仏像の上方に多数の白いオーブが写っていた。 これは神の啓示なのか、それとも精霊が現われたのか? こちらは初夏の地中海。 夕陽が美しいと評判のイビサ島サン アントニオ海岸だ。 写真には 不思議な緑色の玉が写り込んでいる。 さまよう緑の光は地中海の高貴な霊か? 玉が緑色であることに意味があるのだろうか。 そしてこのように、撮影した写真に頻繁にオーブが写る人は、もしかしたら霊に憑かれているのだろうか。 実は、オーブは毎日のように現れている オーブとは何か。 オーブという言葉をぼくが初めて聞いたのがいつのことか正確には覚えていないが、たぶん21世紀になってからのことだと思う。 フィルム時代には聞いたことがなかった。 聞いたことがないといっても、オーブとか、玉響(たまゆら)とか、そういう名称で呼ばれていなかっただけで、同じ現象は起きていた。 それはカメラマンにとってごく日常的なもので、原因はおもにこの3つだ。 レンズ表面についた塵やホコリが、太陽や照明の光に反射して光ったもの• 空気中の塵・雨が、フラッシュに反射して光ったもの• 丸い玉の形をしているのは、塵がピントの合う範囲から外れて丸くボケているからだ。 空気中のホコリがカメラのフラッシュ光に反射している。 このオーブは写真ばかりでなく、 テレビや映画の屋外シーンで頻繁に画面に写っている。 ようするに オーブとは、光がなんらかの反射をして写真に写りこんだものだ。 手をかざせば消えるオーブ さて、チベットの寺院本堂は構造上、天井に明かり取りの窓がある。 この写真は、そこから入る光に影響されたものだ。 そこで、左の手のひらをレンズの上にかざして、 余分な光を遮ってみよう。 これは写真用語で ハレ切りという。 余分な光を遮ったら、写真のコントラストが上がって画にメリハリがついた。 暗部の濃度に締まりが出ている。 ハレ切りはこういう効果があるからフォトグラファーなら全員がしている当たり前のテクニックだ。 オーブもなくなった。 オーブなんか写っていたらへっぽこカメラマンとそしりを受けても仕方がないね。 緑色のオーブはどんな意味があるのか イビサ島の緑の玉は写真用語で 「ゴースト」という現象だから、もしかしたら霊的現象っぽく見えるのかも。 5-5. 6というレンズで撮影したのだが、このレンズの広角域にして太陽に向けるとこのようにハッキリしたゴーストがいつも写る。 このレンズの光学的特徴だから避けることはできない。 玉が緑色なのは、緑の波長帯がゴーストとして出やすい特性があるためだ。 特にスマホのレンズは反射対策が甘いから空を撮ると緑色のオーブが写りやすい。 それから緑色はレンズの反射対策コーティングの種類によって青く写ることもある。 「青のオーブは高貴な霊」じゃあないよ。 そういう製品なだけだ。 もうひとつ、上の拡大写真をよく見ると、緑の玉の左上に赤い玉みたいなのが薄く見える。 これは 赤の波長帯がゴーストとして写ったものだ。 赤の波長帯は緑の波長帯よりも軽減するのが一層難しいのだ。 これら諸々の光の反射を減らすために、レンズにはコーティングが施してある。 メガネをかけている人なら、メガネをつくるときに反射防止コーティングをつけるかつけないかを店員に聞かれたことを覚えているだろう。 コーティング有りのレンズは値段が高くなる。 コーティング技術は年々進歩しており、一眼レフのレンズは高価で高性能なコーティングが施されている。 一方、スマホのレンズは逆光に弱い。 『天使の光の輪』はなぜ現われる こちらはスペインのバルで撮影した、輪になった緑の玉と白い玉。 ここでは朝の光の雰囲気を演出するために光の玉が描かれている。 しかし作画者たちは「不思議なオーブを描いている」とはまったく考えていないだろう。 描いているのは「朝の雰囲気」でそこに光の玉が漂っていることは珍しくない。 まともな映像関係者なら「オーブ」なんて馬鹿馬鹿しいことは考えないし、そんな言葉を使うこともない。 「オーブ」は映像の素人が使う言葉だ。 オーブが話題になるのはデジタル時代から デジタル時代になって、一般の人が持つコンパクト デジタルカメラに小型撮像素子が使われるようになった。 すると被写界深度(ピントが合う範囲)が深くなりレンズ表面の塵が写るようになった。 スマホの撮像素子はひときわ小さいし、反射防止コーティングが簡易だから、一層オーブが写りやすい。 そして誰もがいつも持ち歩き、気軽にたくさん撮影するから、オーブ写真が量産される。 そしてそれがSNSで拡散される。 これが、近年オーブがよく語られるようになった理由だ。 オーブ写真と言われているものはすべて光学的現象にすぎない。 それを映像知識がまったく無いスピリチュアルな人たちが「不思議な現象」だと思い込んで「オーブ」「たまゆら」などともっともらしい名前で呼んだことで不思議現象として広まった。 オーブの7色の意味は オーブに赤・緑・青色が多いのは、 カメラの中で色の三原色(RGB=赤緑青)が乱反射している、それだけの理由だ。 RGBのうち2色をかけあわせればYMC(黄・紫・水色)になる。 だから黄・紫・水色のオーブもときどき見られる。 そしてRGBをすべて合わせると 白になる。 これで計7色だ。 これは加色法の法則で、テレビやスマホの液晶画面も同じ原理でつくられている。 三原色は描け合わさっている状態が標準だから、オーブの色も白が標準だ。 その多くはフラッシュ光が反射しているか、または逆光で色がとんでいるだけだ。 「白いオーブは高次元のエネルギー」などと口走っている人がいたら、その人は自分の知らないことはすべて超自然的な力の仕業と判断するアタマの人だと見なしておつきあいしよう。 オーブの7色と虹の7色との関係は? 赤・黄・緑・水・青・紫と聞いて、何かを思い出さないだろうか。 虹である。 虹は、太陽の光が差したときに、空気中の雨水がプリズムの役割をして見える現象であることは、誰でも知っていると思う。 スケールが大きいだけで、工業製品のカメラのレンズで起きるのと同じ光学現象だ。 ただし虹は「自然光学現象」という。 虹色は、赤・橙・黄・緑・水・青・紫の順で色が並んでいる。 この「7色」は物理の法則にしたがって波長の長い方から短い方へと並んでいる。 虹に橙色があるのは、雨水が多いとそれだけプリズムが大きくなり、赤色がゆたかに見えるから。 オーブも虹も物理的な光学現象で、完全に説明できる。 そこに不思議なことは何もない。 時代と共に変わるオーブの色 太陽を囲んで碁盤のようにいくつも現れる赤いオーブの写真が、2013年頃までネット上によく公開されていた。 スピリチュアルな人たちが「神々の祝福の写真」と大騒ぎしていたものだ。 実際には、この「赤いオーブ」は、本来2枚必要な赤外線フィルターを1枚にケチった安価なコンパクトカメラにのみ起きる現象だ。 その後、スマホが普及して、安価なコンパクトカメラが使う人がいなくなったら「神々の祝福の写真」もネットにアップされなくなった。 オーブの姿も時代によって変わっていくのだ。 オーブの色に霊的な意味は無い オーブの色に霊的な意味はまったく無い。 7色だろうが13色だろうが オーブの色の意味を解説する人がいるがそれは素人の妄想だ。 もし「色の意味」が本当のことなら、あわせて根拠が説明されているはずだが、それはどこにもない。 本人にも分からないのだから書きようがない。 特に女性スピリチュアリストは機械的電気的なことにまったく知識がないためか、思い込みでデタラメを口走る( しかもデタラメを自分で信じている)。 七角形のオーブがあるワケは これは撮影前のストロボ発光テスト中に写った無数の七角形のオーブ。 ニコンのレンズの絞り羽根は奇数枚数にほぼ統一されている このレンズならオーブは九角形に写る。 「九角形のオーブは刺々しい霊」と書いているスピリチュアルな人がいるがそうではないよ。 では、八角形のオーブが写るわけは? ニコンがレンズの絞り羽根を奇数枚数に統一しているのに対して、ライバル社のキヤノンはレンズの絞り羽根を偶数の8枚で統一している。 これは絞り羽根の枚数によって写真の写り方に違いがあるため。 メーカーの絵作りの思想が製品に反映されている。 つまり カメラメーカーによってオーブの形も変わるのだ。 知らなかったでしょう(笑) レンズを換えればオーブも変わる スピリチュアルな人が『龍玉』と呼ぶ、白い光の玉のなかに紋様が見えるオーブ。 ときに「不思議な生命体」と呼ばれることがあるのは、おそらく顕微鏡で見る微生物を連想するからだと思う。 これもカメラ業界の人から見れば紋様の原因はシンプルだ。 それは、そのレンズの性能による。 ただそれだけだ。 パナソニックLumixが、龍玉のない『より滑らかで美しいボケ味の新開発レンズ』を、龍玉ありの旧レンズと比較写真で。 オーブが取りあげられるのは、バラエティ番組や不思議特集番組だ。 それらは娯楽番組の一種で、事象を科学的に解明する番組ではない。 ということは、デタラメでも冗談でも面白ければいい訳だ。 テレビ局の人たちは当記事に書いてあることは あったりまえのこととして知っている。 不思議番組は娯楽として放送しているのだ。 オーブの色の解説ページにご用心 ネット上にはオーブの色の意味を解説しているページがたくさんある。 たいがい、最後の方に「不安な方にはオーブの写真を鑑定します」といって心霊占い師やヒーラーの鑑定サイトに誘導する欄がある。 だからこれらのスピリチュアルなサイトでは「霊魂が何かを語りかけている可能性があります」などと不安を煽ってさりげなく有料鑑定に持ち込もうとしている。 実態はヒーラーやアフィリエイターの記事広告だから、真にうけないようにね。 まとめ:オーブは心霊現象なのか 心霊現象ではない。 オーブを不思議な現象という人は• カメラの機構についての知識がない写真の素人• ききかじりで心霊を語る素人のスピリチュアリスト 間違いなくこのふたつが共に当てはまる。 ぼくはこれまで、いろんなスピリチュアルな人から「不思議写真」を見せてもらったことがある。 しかし そのすべてがこの記事と同じく光学的現象だった。 例外はテレビ局の、不思議ではないことを知っていながら「不思議写真です」と言う芸人たちだ。 だからぼくは未だに真の不思議写真を見たことがないし、自分で写したこともない。 もしかしたら世の中の不思議写真のうち1000万枚に1枚くらいは本物の霊的事象の写真があるかもしれないが、それを見る機会は一生に一度もないだろう。 何しろ毎日のようにお寺や神社やパワースポットで写真を撮っているぼくや、仲間のプロフェッショナルフォトグラファーたちですら、 誰も真に霊的な写真を撮った人がいないからね。 ようするに 「本物のオーブ」というものは存在しない。 もしオーブの写真を撮ったとしても鑑定してもらう必要はない。 どうしても気になるなら、心霊占い師とかヒーラーとかに見せると「高貴な霊です」「守護霊からのメッセージです」「怒りが写っています」などと根拠のない妄想をしゃべりだすから、カメラマンに見てもらおう。 でもぼく宛には写真を送らないでね。 スピリチュアリスト達が「1000万枚に1枚の本物をお見せしましょう」と自信作を送ってくるけど、全てホコリや塵でした。 それが分からないのはスピさんたちに知識が無いからです。 それでも送ってきた作品は今後は寸評をつけて公開しますので同意の上送ってください。 はじめまして、好んで小学生時代から写真を撮っている者です。 実はこちらの記事の「オーブ」をそれなりに撮るのですが、説明がつかないものがいくつかあって、原因を探していました。 スピリチュアルは妄信的に肯定も否定もしない派なので、根拠をもって真偽を見極めるのが大事かなと思います。 そこで、ご意見をお伺いしたいのですがこちらの記事1-3に当てはまらない条件で撮れたオーブについてはどう思われますか? オーブや天使のはしごを人為的にとる方法はもちろん知っています。 そういう条件が全くないところで撮れる写真についてです。 例えば、陰で映る虹。 虹自体も光とレンズの加減でうつりますよね。 オーブであれ、輪であれ、赤~黄~青系と記事内で説明されている通りに映ります。 これが、日陰で被写体側からの灯りもなく、橙黄 青 黄橙と通常の法則を無視して現れた場合、カメラマンとしてどういう解釈になるでしょうか。 あとは、夜の神社の小さなお祭りで、人の顔が分からないくらい暗い場所ですがフラッシュを用いずバルブを数秒開いて連続で撮った写真に、鮮やかな彩色の光の玉が1つだけ映っておりました。 映り込んでいる距離感から大きさは拳大くらいの体感があります。 暗闇に明らかにひとつだけ、存在が浮いてまして… 三脚固定で数秒おきに何枚かとっていますが、曲線を描いて移動をしていました。 チリやほこりの場合、神社側からの灯り(光源は一点一方向)で起きる現象だと思うので、全く同じ大きさ、色、光りの強さで撮れるということが逆にあり得ないと思うのです。 同じほこりが移動すれば同然映らなくもなるでしょうし、逆に違う場所で他のほこりが映ってもいいはずで。 同時多発的だとかほかの場所に映ったとかでなく、ひとつだけ、同じ光が移動するように映っている、というのは科学的にカメラマンとしてどんな理論が考えられるでしょうか(人は離れた場所に数人、ほとんど動いていない程度です)。 神社はろうそくを灯していたので朱系の光景ですが、光の玉の彩は真逆です。 オーブというとスピリチュアルを否定しない人間としてもカメラのことを知ってると、それは違うだろう。 というのは大体わかります。 なんちゃってスピリチュアル痛たたた…というのもですね(苦笑) しかし、上記の現象は探しても出てこず、カメラマンさんは知っているだけに完全否定派の方も多いですけどそういう方の記事でも「まぁちょっと知ってれば光の加減だよね」程度で終わってしまっています。 写真はお見せできないのですが(似非スピリチュアラーとか嫌ですから(笑))カメラマンとして、考えられる理論があったら教えてもらえればうれしいです。 大変長文申し訳ありません。 どう頑張っても謎のままなので、この場をお借りしてお尋ねいたしました。 長文ですが、白黒つけたいというわけではなく、こういう現象はカメラとしてありなの?(どうして?)というような感覚ですので、お気が向いた時にでもお相手していただければありがたいです。 失礼いたしました。

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白 猫 カイル 正体

猫の名前……[jump:2] 猫を見に来たサクラの話 ある日の猫田さん……[jump:3] 本編「上忍のいる生活」の少し前くらいの話 名前を呼んで……[jump:4] 本編後の二人 不機嫌な黒猫……[jump:5] 本編後の二人 カレーの話……[jump:6] 本編後の二人 おでんの話……[jump:7] 本編後の二人 [newpage] [chapter:猫の名前] イルカ先生が保護したという猫さんはそれはもうなんて言うか、小憎たらしいのにかわいい。 色は白……というか、銀色? 白灰色? ちょっと光沢がある白っぽい色で、左目の上を縦に走る傷がある。 右目はちょっとくすんだ青で、なんとなく眠そうにとろんとしている。 ……特徴を並べるとほんと、カカシ先生みたい。 毛は長毛でふわっふわ。 すごく触りたい。 すごく触りたい。 思わず二回言ったけど、だって触りたいんだから仕方ない。 二日前におつかいに来たときに猫さんを見せてもらって、触らせてもらいたかったけど猫さんはするりするりと私の手から逃げて、結局触れなかった。 でもどーーーしても諦めきれなかったので、今度こそ触らせて下さいってお願いした。 イルカ先生曰く、言ってることがわかってるらしい猫さんなので(どういうこと?)、素直にお願いしてみた。 正座して、畳に手をついて、土下座スタイル一歩手前。 「猫さん! 今日こそは触らせて下さい!」 猫さんは座布団の上に丸くなったまま微動だにせず、私のことは完全に無視。 くっ、何なの!? 「猫さん! いい? 触るよ? いいよね!? ごくりと生唾を飲み込んで、そろそろと近づく。 シズネさんが言うには、気にくわない相手であれば上忍さえもはねつける手練れという話。 なにそれすごい。 そっと手を伸ばすと猫さんはこっちを見た。 私は思わず手を止める。 そのままの姿で止まり、お互い見合うこと五秒。 猫さんは座布団から動くことなく再び首を落とした。 これは……オッケーってことでいいんじゃないでしょうか! 丸まった背中の毛をそっと撫でる。 ふわっふわ。 すんごいふわっふわ。 しかも石鹸の匂いがする。 丁寧に洗われて乾かしてもらったってことなのね。 イルカ先生の動物好きは有名。 アカデミー生なら、みーんな知ってる。 アカデミーで飼育しているウサギや鶏の世話は基本的にアカデミー生がするんだけど、飼育監督は先生達の持ち回り。 ……のはずなのに、そういうのが苦手だったり嫌いだったりする先生の担当の時になると、イルカ先生はこっそり様子を窺ってばれないようにちゃんと世話をしたりフォローしたりする。 ばれないようにってのは建前で、みんな知ってるんだけどほら、暗黙の了解ってやつ? あれ、違うか。 公然の秘密? そんなイルカ先生だから、きっとこの猫さんもものすごくかわいがってるんだと思うのね。 あぁ気持ちいい。 すごいふわふわ。 ちょっと抱き上げちゃっていいかな。 と思って手を伸ばしたら逃げられた。 「先生、この猫さんに名前とかつけないんですか?」 猫さんは先生の膝の上によじ登ってそこで丸くなった。 とことん小憎たらしい。 私は触るのがやっと、シズネさんは触るのもできず、猫さんはイルカ先生にべったり。 羨ましいったらありゃしない。 「つけないよ。 預かっているだけだしな」 「でもほら、呼ぶのとか不便じゃないですか?」 「そうかなぁ」 別に不便じゃないよなぁと言いながら先生は猫さんの首元を指でこすった。 猫さんはごろごろと喉を鳴らしている。 なにあの甘えん坊っぷり。 私もごろごろしたい。 「つけちゃえばいいじゃないですか。 色が白いからシロとか、オーソドックスにタマとか」 「……サクラ、お前、年の割にはネーミングセンスが」 「それはともかくとしてですね」 私はピンとひらめいた。 「そうだ! いっそのこと『カカシ』でいいじゃないですか」 ぶほっという音がしたのでそちらを見るとシズネさんがお茶を噴き出していた。 イルカ先生に差し出されたティッシュを手に、鼻と口を押さえている。 「よくないですか!? 似てるし! 呼び捨てとか滅多にできないですし!」 「いや、そりゃ、ダメだろう」 イルカ先生は声を上げて笑う。 ごほごほとむせるシズネさんはやや涙目だ。 笑う先生の膝が揺れたようで、猫さんは飛び降りて先生のすぐ近くに身体を寄せて寝転がった。 ちらっとこっちを見たような気がしたけど、多分気のせい! 「名前はな、ほら、つけると愛着がな」 別れがたくなるじゃないか、と先生は笑う。 そっか、いつかはどこかに帰る猫さんだものね。 イルカ先生の猫さんを撫でる手は、端から見てても優しい。 あの手の優しさは知ってる。 私だけじゃなくて、アカデミー生ならみーんな知ってる。 遠くない別れを思ってちょっとだけ切なそうに猫さんを見るイルカ先生。 きっと、猫さんが帰っちゃったらすごくへこむんだろうなぁ。 その時はうんと優しくしてあげないとね! [newpage] [chapter:ある日の猫田さん] 任務依頼書を手に、テンゾウは暗部棟の自室へと戻って通常の忍服に着替えた。 さすがに暗部装束で日中に里内をうろつくのは目立ちすぎる。 面もはずした。 目的地は里の中心部から少しはずれた一軒家。 その家へ行くのはこれが二度目だ。 表札のない家の門戸をくぐり、呼び鈴を鳴らすと中から「はーい」と涼しげな声がした。 「ごめんください。 突然すみません」 テンゾウが言うと家主は驚いたように玄関の引き戸を開け、目を丸くしてテンゾウを見た。 「猫田さん、どうもお久しぶりです」 「はい。 その節は大変ご面倒をおかけしました」 猫田とは以前、急場に付けられた偽名である。 言われる度に内心力が抜けるがそれを外に出すようなヘマはしない。 ……していないはずだ。 「こちらにはたけ上忍がいらっしゃると綱手様に伺いまして」 「あぁ、はい、奥に。 どうぞ上がって下さい」 居間へと促され、家主はそのまま廊下の奥へ首を出して「カカシさーん、お客様ですよ~」と叫んだ。 居間には犬がいた。 しかもたくさんいた。 重なるように寝そべり、居間に入ってきたテンゾウに気づいてちらりと見たがこれといった反応もなく、そのままだった。 犬は八匹。 正直、狭い。 「パックン、みんな、ちょっと起きて! お客様来たから」 家主は慌てて犬達を起こし、廊下へと促す。 「うみの、別にわしらはかまわんぞ」 確かにテンゾウも特にかまわない。 知らない仲ではない。 だが家主はそれについては把握していないだろう。 「いやいや、そういうことじゃないから」 「イルカ~、喉渇いたよ。 水ちょうだーい」 「おれもー」 「え、今!? ちょ、ちょっと待って。 あとで」 すいませんと家主は押し入れから座布団を引っ張り出し、テンゾウにすすめてくれた。 見ると、ちゃぶ台の上には裁縫道具が広げられ、その脇には洗濯されたらしきちゃんちゃんこが山のようになっている。 家主に促されて犬達は廊下へと出され、入れ替わるように長身の男が居間へと入ってきた。 額当てはしていないが口布をしているその姿は、テンゾウが一番見慣れた姿だと言っていい。 「なんなのよ、こんなところまで」 「僕に文句は言わないでいただきたい」 家主は何度もすいませんと言いながらちゃぶ台の上を片付け、カカシとテンゾウの分の茶を入れて出してくれた。 そのまま裁縫道具とちゃんちゃんこを抱えて「どうぞごゆっくり」と笑顔を浮かべて居間を後にする。 カカシはそんな家主の様子を僅かに微笑みながら見ているようだった。 任務依頼書を出して説明し、出発から帰還までの段取りを確認する。 カカシとのツーマンセル任務は暗部時代から慣れたもので、お互い最小限の確認で済ませられるので気が楽だ。 もっとも、任務それ自体は楽とは言い難いものが多いのだが。 「先輩」 「ん?」 「まさかここに住んでいるんですか?」 「……半分くらいは?」 意外だった。 テンゾウの知るカカシはどちらかというと自分の領域内に他人を入れることを好まず、どんなに親しくとも一線を引いて対応する人間だ。 それが、他人の家で寛ぎ、あまつさえ忍犬までも任せているとは。 ここの家主には引き寄せられる何かがあるということだろう。 廊下では、何を話しているかはわからないが、家主が忍犬達と何やら言葉を交わして密やかに笑っているようだ。 南向きの廊下は日差しが入るのでそこで作業をしているのだろう。 裁縫道具を持って行ったということは、犬達のちゃんちゃんこを繕っているに違いない。 「懐いてますね」 忍犬としてそれは大丈夫か、とは穿ちすぎか。 優秀な犬達のこと、わかっていないことはなく、その上であの家主との関係を築いたのだと思う。 「みんなイルカ先生大好きでねー。 オレの立つ瀬がないんだけど」 カカシは廊下の光景を思い浮かべるように眼を細めた。 ほんの少し、苦く笑ったようだ。 「イルカ先生もさ、あいつらがいたほうが断然嬉しそうなんだよね。 ホント、動物が好きでさぁ」 その言葉をちらりと彩る色に、テンゾウは「おや?」と思う。 今のは巷に言うところの嫉妬というやつではないか。 もっとも、それを口に出すほどテンゾウは愚かではないので気づかぬふりをしたが。 いとまを告げようと障子を開け、廊下に出ると家主がちょうど裁縫道具を片付けて立ち上がったところだった。 「すみません、お邪魔しました」 「いいえ、とんでもない」 にっこりと笑顔を向けられ、思わずテンゾウも少し笑った。 「猫田さん、今日この後はご予定でも?」 「猫田?」 疑問符付きで言ったのは家主の足下の忍犬だ。 思わず見てしまい、目が合ってテンゾウはいたたまれなくなる。 パックンの顔がわずかに気の毒そうになった……ような気がした。 「は、いえ、特には」 「じゃあ夕飯食べていかれませんか? これから買い物に行くんですが」 「へ? いや、そんな」 「カカシさーん、今日ご飯食べますよね」 「食べますー」 「とのことなので是非どうぞ」 にこにこしながら言われては断りにくく、テンゾウは結局「はぁ、では」と言葉に甘えることにした。 正直なところ、この家主には少し興味がある。 話に聞く人柱力の担任をしていたこともそうだが、あのカカシが懐いている人間だ。 中忍ながら火影も一目置いている。 家主は嬉しそうに頷き、歌うように何作ろうかなぁなどと独りごちた。 家主は財布を手に、居間のカカシと何やら言葉を交わして忍犬二匹を連れて家を出た。 居間へ戻ると、カカシは忍犬を一匹膝の上に乗せてマッサージをしている。 カカシはテンゾウに目を向けて「猫田くん、今度来る時はちゃんと手土産持ってくるんだよ」と意地悪そうに笑った。 [newpage] [chapter:名前を呼んで] ごめんくださーいと覚えのある声が聞こえてイルカは作業を中断した。 膝の上でうとうとしていた猫を座布団の上に下ろして立ち上がる。 「サクラか。 どうした?」 「借りていた本、ありがとうございました! あと、これ」 「わざわざ持ってきてくれたのか。 悪いな。 これは?」 「三輪屋の苺大福です。 お使いのついでに買ってこいって言われたから、先生にも本のお礼にと思って」 「おー、美味そうだな。 サクラ、暇なら上がっていけ。 御持たせで悪いけど、一緒に食おう」 えへへ、それを狙ってましたとサクラは舌を出して笑う。 サクラは勝手知ったる様子で居間へと入り、イルカが「あっ」と気づいた時には「あー!」と叫び声が聞こえた。 しまった。 「イルカ先生、猫! 猫さんが!」 「あ、あぁ、うん、まぁな」 「飼うことになったんですか!? 「いや、その……ま、また一時的に預かることになったんだ」 「そうなんですかー! 猫さーん、また触らせて下さい! この通り!! 申し訳ないことをした。 サクラを上げる前に一声かけるべきだったか。 サクラの後ろから謝罪のつもりで手を合わせると、猫はイルカの方をちらりと一瞥した。 茶を入れて戻ると、サクラはちゃっかり白猫の隣に座布団を敷いて座り、白猫を撫でていた。 頭や背中を撫でられる姿に、イルカは思わず笑いを噛み殺す。 そういえば以前もサクラが同じように撫でていたが、あの時は知らなかったので違和感も覚えなかった。 しかし猫の正体がカカシとわかっていれば、今の置かれた微妙な状況は思うところがある。 猫は無愛想にサクラから顔を背けているが、内心どんな気持ちでいるやら。 「サクラ。 どうぞ」 「ありがとうございます!」 「これ、手ふきな。 あとティッシュはこれ」 「はーい。 これ、食べてみたかったんです~。 いただきまーす」 猫から大福へ興味が移ったのを見てか、猫はすかさずイルカの膝の上に飛び乗った。 そこにいられると大福の粉が落ちそうな気がするが、まぁいいか。 三輪屋の苺大福は餡の甘さと苺の甘酸っぱさのバランスが絶妙で、老若男女問わず人気があるらしい。 イルカは食べるのが初めてだが、確かに美味いなと思った。 サクラは大福を食べながら、イルカの貸した本の内容についてやら、綱手の無茶ぶりやら、シズネの苦労についておもしろおかしく話してくれた。 イルカは話を聞きながら大福の粉を吹き出しそうになる。 イルカもアカデミーでの話や、新しく発売される本の情報について語った。 「先生、猫さんの名前、今度はつけるんですか?」 「え?」 「またちょいちょい預かることがあるならつければいいじゃないですかー! あ、それともちゃんとした名前、わかったんですか?」 「あ、あー、うん」 何ですか?とじっとイルカを見つめるサクラに、イルカは観念した。 「カカシっていうんだ」 「え?」 サクラの声と膝の上の白猫が顔をもたげたのが同じタイミングでイルカは笑ってしまいそうになる。 「写輪眼のカカシそっくりらしいならばって、カカシって名前だったらしい。 サクラが前に言ってたとおりだったな」 「えー! そうなんだ。 ぷぷっ、カカシだって。 カカシー」 面白そうに何度も呼ぶサクラに、心底困惑したような様子の白猫だった。 「ひどいじゃない!」 「何がですか?」 「名前! サクラにあんなに何度も呼び捨てで連呼されるオレの気持ちを考えてみてよ、もう」 「……別にいいじゃないですか。 面と向かって呼ばれてるわけじゃ……いや、呼ばれてるのか」 「想像して下さい! サクラに『イルカ~』って呼ばれながら撫でられる様を」 イルカは少し想像した。 それは、確かに微妙だ。 何より気恥ずかしい。 「申し訳ない」 「……反省してないでしょう。 そうだ、ねぇイルカ。 白猫の名前がカカシなら、ちゃーんとそうやって呼んで下さいよ?」 「えっ」 「さ、練習練習」 練習とは、と問う間もなく、カカシは変化の印を切って白猫になる。 あからさまに「なぁーん」などと鳴いてみせる姿が小憎らしい。 「え、いや、カカシさん?」 白猫は座った状態で器用に後ろ足だけでバランスを取って前足でバツを作った。 「…………か」 白猫はじっとイルカを見上げている。 普段、カカシを呼び捨てにしたことなどない。 七班の子供達がいたころは「カカシ先生」であり、その後は「カカシさん」であり、それは恋人となってからも変わらない。 「か…………カカシ?」 瀕死の蚊が鳴くような声で呼ぶと、白猫は煙と共に消えて上忍が現れた。 そのまま押し倒される。 「えっ」 「イルカ、オレもこれからはそう呼んで欲しいな」 「……えっ」 「カカシって呼んでよ。 ね、イルカ」 蕩けるような笑顔で口づけを降らせながら言う恋人に、イルカは目を白黒させた。 お願い、と言いながら服の下に手を滑らせられ、今更ながらイルカは深く、深く後悔した。 [newpage] [chapter:不機嫌な黒猫] 「いっつもオレばっかりだし、たまにはどーお?」 寝そべって肘をつき、子供のように首を傾げると目の前の人は「まぁそのうち」と穏やかに笑った。 何の話かというとどうということはない、猫になるならないの話だ。 カカシは時折猫に変化する。 して何をするかというと、イルカと一緒に風呂に入ることをせびったり、持ち帰った仕事をしている間に膝の上に陣取って撫でてもらったり、イルカに抱えられながらテレビを見たりしている。 これがまた極上のくつろぎなのだが、イルカにはあまり伝わっていない。 撫でてもらう。 抱きしめてもらう。 イルカの話を聞く。 カカシが猫の時、イルカは返事が必要な話はほとんどしない。 他愛もないことを話し、寄り添うカカシに手をさしのべる。 それがたまらない。 優しくて嬉しくて、これが幸せって言うんだと柄にもなく感動したりもする。 だから、時にはイルカを甘やかしたい。 イルカが喜んでいる姿が見たい。 自分ばかりが嬉しいのではないかと不安になる。 しかし、何をすればイルカが喜ぶのか、情けないことにカカシにはよくわからない。 求められれば何でもする気持ちがあるが、自分から与えうる何がイルカのためになるのか、最近は色々考えている。 しかしこれだという答えは見つからない。 疲れたなぁと思いながら玄関を開けて「ただいまー」と声を上げた。 いつもなら「お帰りなさい」という返事と笑顔とわずかに不安な色を含んだ「怪我はないですか」という一連の出迎えがあるはずなのに、それがない。 早い時間であるからまだ帰っていないのかと思ったが、確か今日は休暇だったはず。 玄関にはきちんと揃えられたサンダルもある。 「イルカー? ……奥かな」 カカシが額当てを外しながら居間へ入ると、中途半端にたたまれた洗濯物の近くに背を向けた猫がいた。 艶やかな毛並みの黒猫だ。 思わず「ん!? とカカシは目を見張る。 「イルカ?」 猫はぴくりと反応し、ちらりとカカシの方を見た。 口の周りだけ白く、鼻の所に横一文字の傷がある。 間違いない。 黒猫イルカの成猫状態だ。 珍しい。 というか、成猫は初めて見るのではないだろうか。 「ただーいま。 イルカ」 言って黒猫を抱き上げようとすると、猫はするりとカカシの腕からすり抜け、部屋の隅に走って行き、カカシに背を向けて座った。 (……ええええええ!? ) 思わぬ拒否にカカシはがくりと膝をつく。 何か機嫌を損ねるようなことをしただろうか。 必死にここ何日かの自分の言動を省みるが心当たりはない。 「イルカ? えーっと、オレ、何かしたかな?」 ちらちらと猫の方を見ながら問うが、黒猫は完全に無視の態勢を決めている。 つーん、という擬態語がぴったりの姿だ。 (うーんうーん、怪我もしてないし喧嘩をしたわけでもないし、浮気を疑われるようなことはしてないっつーか任務に行くかここに帰ってくるかしかしてないし?) カカシが顎に手を当てて考えていると、不意に目を向けたちゃぶ台の上に見覚えのある袋が置かれていた。 木ノ葉病院の薬の袋だ。 何か忘れているような気がするなと思って薬の袋を手に取ると、中の固い物の触り心地にはっとした。 目薬だ。 (しまった。 先週来いって言われてたんだった) 左の写輪眼にわずかな違和感を覚えたのはちょうど鼠狩りが佳境に入った頃。 綱手に診てもらい、経過を見せろと言われていたのをすっかり忘れていた。 痛みも視力も今はまだ問題無いが、所詮カカシはうちは一族ではない。 いずれ必ず限界が来る。 それがせめて面倒事が終わった後であればいいと思っているが、どう転ぶかは未知数だ。 綱手もそれを承知しているから以前から気にかけてくれていたし、急な申し出にもすぐに応え、疲労回復用の目薬も処置してくれた。 あまり事態がわからないうちに話すのもどうかと思って黙っていたが、新しい目薬があるということは綱手がイルカにこれを渡したのだろう。 共に住むことの承認を得る際に、イルカとの関係については綱手には告げた。 綱手は「勿体ないがまぁ本人達が望んでいるなら仕方なかろう」とよくわからない感想を述べただけだったが、今回の件でイルカがカカシの伴侶であると認めていることがわかった。 それはいいのだが。 (目のこと、どこまで聞いたんだろう。 あー、やっちゃったなぁ。 話しておけばよかったなぁ) 心配をかけたくないのと、隠し事をしないのはカカシにとっては二律背反だ。 イルカが隠し事をされることの方が嫌いなのはわかっている。 しかし不確定なことであれば余計な心配はさせたくない。 ここで「どうして黙っているのか」と詰らないのがイルカがイルカたる所以だと思う。 不機嫌さも怒りも決して理不尽にカカシにぶつけてはこない。 猫になって拗ねているのはせめてもの抵抗なのか。 この分だと今日は飯も作らないぞという意思表示なのかもしれない。 カカシは少し困って笑った。 自業自得では仕方ない、今日は何とかイルカの機嫌を取ろう。 とりあえず夕飯はどうしようかと台所へと立つと、猫が動いた気配がした。 そちらを見たかったがぐっと我慢をして冷蔵庫の中身を確認する。 多少の野菜はあるが主菜になりそうなものはない。 どうやら買い物にも行っていないようだった。 何か買いに行くかと踵を返すと、わずかに顔を出して台所を覗いていた猫が慌てて姿を消した。 (かーわいい) 思わず笑ってしまいそうになってカカシは息を飲み込んだ。 拗ねてみたはいいがカカシの様子は気になるらしい。 居間に戻ると猫はさきほどと同じように部屋の隅の方を向いて座っている。 (そうだ!) カカシは極限まで気配を消して一気に猫の背後に近寄った。 そのまま黒猫をえいやと抱き上げる。 「ふふっ、つーかまえた」 黒猫はびくりと硬直し、自分の状況を察したのかにぎゃにぎゃと鳴きながら身を捩らせた。 「一緒に買い物に行こうねー」 逃げられないようにがっちりと抱いて財布を手に玄関を出る。 急いで鍵をかけ、商店街へと走った。 我ながら素早い。 イルカに変化を解く隙を与えない流れるような動作だった。 額当ては置いてきてしまったがかまうことはない。 必死に抜け出ようとする黒猫がはっと何かに気づいたような顔をした。 おそらく解印を切ればいいんだと思い至ったのだろう。 だが、もう遅い。 「いま解印切っちゃったらイルカをだっこするオレが商店街に大登場~」 黒猫はくわっと目を見開く。 この言い方をすればきっとイルカは変化を解かない。 カカシは笑いながら商店街へと足を踏み入れた。 「おや、上忍の先生じゃないか。 その猫どうしたんだい」 七班の子供達を連れて何度も通ったことがあるからか、この商店街ではカカシはすっかり見知った顔だ。 魚屋の店主は猫を抱くカカシを見て首を傾げている。 「うちの猫でーすよ~。 おじさん、今日は何がおすすめ?」 「そうだなぁ、今日はサワラがいいのが入ってるね」 「サワラかぁ。 サワラってどう料理すればいいかな?」 「揚げるか焼くかだな。 醤油でもポン酢でも味噌でもいいぞ」 「いいね。 じゃあそれ、適当に二人分ください」 「はいよ、まいどあり」 にゃんこの分はおまけしといたよと言いながら店主は黒猫の頭を撫でた。 黒猫は礼を言うように一声鳴く。 付け合わせに大葉とネギを買い、味噌汁の具として豆腐を買った。 茄子は特売だったようですでに売り切れてしまっており残念だ。 買い物袋を手にかけ、黒猫を抱いたまま歩くカカシは人目を引いていたが気にしない。 一通り買い物を終えた後、カカシはイルカの家ではなく逆方向に歩き始めた。 じっと黙っていた猫は不可解そうにカカシに目を向ける。 「ちょっと散歩~」 カカシは黒猫を抱いたまま夕暮れの中を歩いた。 アカデミー近くまで来たところでカカシはチャクラを足に込めて地を蹴る。 あっという間に火影岩の上へと出ると一息ついた。 赤々と照らしていた夕焼けが静かに闇へと変わろうとしている。 ここから見る景色がカカシは好きだった。 人の営みが見え、ぬくもりを感じるこの景色が、カカシが、忍達が守っているものなのだ。 時折確かめるようにここから里を見ている。 腕の中の黒猫もまた、里を見ていた。 カカシは猫を抱く腕に少しだけ力を込める。 「目のこと、黙っててごめんね。 まだ一度しか診てもらってないし、はっきりしたことは多分いつまで経ってもわからないから、言うに言えなかった」 腰掛けるのに手頃な岩に座って、猫を膝の上に乗せる。 頭を撫でると黒猫は少しだけカカシから視線を外した。 「まだね、平気だよ。 ちゃんと見えるし、コピーだってできる。 コピーした術も使える。 新しい術だって……。 うん、だからね、あんまり心配しないで。 ダメになったらちゃんと言うよ。 片目で忍を続けるのは厳しいと思うけど、そうしたらイルカが養ってくれるでしょ?」 笑いながら言うと、猫は煙と共に消え、代わりに現れた最愛の人はカカシを掻き抱いた。 イルカは己の震えを隠すようにカカシを強く抱き、何度も何度もカカシの耳元で「ごめんなさい」と言う。 愛する人が腕の中にいる。 愛する人の腕の中にいる。 それはカカシにとっての奇跡だ。 幸せに形があるのだとしたら、それはこの人のことだと信じてやまない。 カカシはイルカの頬を撫で、啄むように唇を合わせた。 次第に深く、息を交換するように口づける。 「ごめんなさい。 疲れて、いたのに」 「なんで? 一緒にお買い物楽しかったよ。 子猫もいいけど大きな猫もいいね。 黒猫可愛い」 イルカは顔を赤くしながら複雑そうな表情をした。 思わずカカシは笑ってしまう。 「帰ろう、イルカ。 サワラを焼いて味噌汁作って、あ、ご飯炊いて出てくればよかったな~。 失敗した」 「帰ったら、炊けばいいから」 「そうだね。 さ、猫になって」 「…………え?」 「裸足でどうやって帰るつもり? まただっこしてってあげる~。 オレは別にイルカのままでも子供に変化でも何でもいいけど?」 満面の笑みでカカシが言うと、イルカは己の素足を顧みて、またしても複雑そうな顔をした。 [newpage] [chapter:カレーの話] カカシのカレーが迷走している。 迷走、というのも表現が正しい気はしないのだが、考えてみてもそれ以外の言い表し方が見つからない。 イルカが帰宅すると家に入る前に今日の夕飯がわかった。 台所からほのかにいい匂いがしている。 玄関の引き戸を開けるとその匂いはしっかりしたものになり、あぁカレーだと顔がほころぶ。 そしてわかると同時に空腹を痛感する。 どうしてカレーの匂いというのはこうも空きっ腹を直撃するのか。 「ただいま」 「おかーえりー」 夕方、受付でカカシの報告書を受け取った。 カカシはそのまま帰宅だとのことで「夕飯はオレが」と申し出てくれた。 任務帰りで疲れているなら休んでいてくれてもよかったのだが、あまり遠慮しすぎるのもカカシは好まない。 素直に「お願いします」と言うとカカシは笑顔で手を振った。 以前のことがあったからか否か、カカシに夕飯を頼むとカレーであることが多くなった。 勿論毎回ではないが、三度に一度はカレーだと思う。 月に一度は確実に食べている。 多いときは数回だ。 別にそれは一向にかまわない。 イルカもカカシもカレーは好きだし、多めに作っておけば翌日に熟成したカレーを食べられる。 なんなら冷凍して保存もできる。 勿論カレーうどんにだってアレンジできる。 そうそう毎日でなければ格別飽きるものでもない。 作るのもそこそこ手軽とくれば、万能すぎて涙が出るというものだ。 カカシのカレーが迷走し始めたのはいつ頃からだったろう。 何か考え込んでいると思ったら料理のレシピ本を真剣に読んでおり、よく見たらそれはカレーにターゲットを絞ったレシピ本だった。 「目新しいものを作ってみるんですか?」 「だってさぁ、あんまりいつも同じ中身だと飽きるじゃない」 そうかなぁ。 イルカは内心首を傾げたが、カカシ自身が飽きているならば自分が何かを言うには及ばない。 好きなようにすればいい。 その時はそんな風に思ったのでこれと言って何も言わずに済ませた。 いつもと違う匂いに驚いていると、カカシはレシピのページを開いて「これこれ」と教えてくれた。 どうやら南国の木の実から取れる液体をベースにしたカレーらしい。 「本当は色々スパイスで味付けるみたいなんだけど、どうしても手に入らないものがいくつかあるからカレールーで」 大きめの野菜に鶏肉を入れたそのカレーはいつもより色が白っぽく、食べてみたらそれはそれで風変わりではあるが悪くないものだった。 なお、作った本人であるカカシは「なんか甘い」と不満そうだった。 それ以来、その白っぽいカレーにはお目にかかっていない。 レシピを初めから順番に試しているのではと思うくらい、それから毎回違うカレーが出てきた。 レシピ通りに作っているので味はどれもよく、それなりにイルカも楽しんでいたのだが、何か引っかかりを覚えるのも確かだった。 その引っかかりはカカシも覚えていたのだと思う。 カカシは必ずイルカに「今日のはどう?」と聞くし、イルカは率直に感想を伝えた。 「美味しい! 肉がとろとろだ。 これ、牛肉ですよね? 圧力鍋すげー!」 引っ越しの際に(何故か)カカシが持参してきた圧力鍋を使ったカレー。 味は抜群だがいかんせん手間のかかるものだった。 「これは…………次は違うのがいいかなぁ」 何がベースかわからないが、緑色のカレーはイルカとしては「何かが違う」だった。 「なんかすごく……すごく、辛いです」 市販のカレールーをいくつかブレンドしていたらしいが、異様に辛かった。 どうやらマイト・ガイおすすめの一品が入っていたらしい。 感想を言うたびにカカシは真剣に話を聞くし、じゃあ次はと気合いを新たにしている……ように見える。 (そんなに気にしなくてもいいのにな) 何となく悶々としているイルカだった。 今日のカレーは何だろうな。 イルカがそう思うながら脚絆をほどき、手を洗い、ベストを脱いで台所へ行くと、何とも言えないいい匂いに包まれた。 ほのかに酸っぱいようなこの匂いは、おそらくトマト。 「今日のカレーは何ですか?」 「んー? チキンカレーってやつ」 近くに置いてあったレシピ本の、開いた癖の付いたページを見る。 オーソドックスなチキンカレーだ。 トマトの水煮とカレールーで味付けをするカレー。 確か以前一度食べたことがある。 一周回って戻ってきたんだろうか。 カカシの肩越しに鍋を覗き込むと、以前より色が濃い。 というか、以前食べたチキンカレーはもっと黄色かったような気がするが。 カカシに聞いてみると、以前のものにはヨーグルトが入っており、今日のものには入っていないとのことだった。 なるほど。 「さ、でーきた。 食べましょう」 ご飯をよそってカレーをかける。 鶏肉は手羽元だ。 カカシは冷蔵庫の中からサラダの入った皿を二つ取り出してちゃぶ台の上に置く。 「いっただっきまーす」 一口掬って咀嚼する。 カカシは最初はじっとイルカを見ている。 これもそろそろ見慣れた光景。 「今日のカレー、どう?」 「美味しい! この前のより今日の方がいいです。 これいいですねぇ」 いつもより辛めのルーだが、その辛さもトマトの酸味と合わさってちょうどいい。 素直にそう言うとカカシは「よかった」と笑って自分も食べ始めた。 半分だけおかわりし、満足したところで冷えた水が出てきた。 「カカシさん、もしかしてカレー自体に飽きちゃってます?」 「え!? どうして?」 「同じカレーが全然出てこないから……」 「あぁ、いや、飽きてるとかそんなことはないよ。 それはむしろイルカに聞きたいところで」 「俺?」 「ちょっとね、何がいいか自分でもわかんなくなってきちゃって。 なんかさ、これだっていうのがあればいいんだけど」 ぴこんと頭の上で電球が光ったような気がした。 イルカの中で引っかかっていたものが何なのか、わかったような気がする。 カカシは自分の「定番」を探し中なのだ。 そしてその「定番」を、できればイルカの好みのものにしてくれようとしているのだ。 カレーに限ったことではないが、料理にはその家の個性が出る。 幼い頃から慣れ親しんだ味を繋いでいく人も多い。 それが自分にとって「当然」であり、時としてその「当然」は自分の家でしか通じない常識だったりもする。 当たり前だと思っていたことが実はそうではなかったときの衝撃たるや、まさに「カルチャーショック」という言葉にふさわしい。 「カカシさんの家のカレーはどんなんだったんですか?」 「それが覚えてなくて。 父さんがあまりカレー好きじゃなかったのかわかんないけど、数えるほどしか出てきた記憶がないんだよね」 匂いがきついものなので暗部の頃は好んでは食べなかったし、思えばイルカと食事を共にするようになって食べる回数が増えたとカカシは語った。 「イルカの家のカレーは?」 「いたって普通でしたよ。 ジャガイモに人参、タマネギは薄切り、肉は母親のその日の気分と安売り状況で豚か牛。 チキンはほとんどなかったなぁ」 作り方は何度も見ていた。 手伝ったこともある。 それでも母のカレーと同じ味には作れない。 何が違うのかわからないが、何やら最後に色々入れていたのでその微妙なさじ加減は永遠に再現できないと思うと、少しだけ寂しい。 「カカシさん。 今日のカレー、すごく美味しかったのでこれ定番にして下さい」 「え、今日の? でも、そんな凝ってもないし、すごく普通じゃない?」 「普通だからいいんじゃないですか。 わかんなくなってきちゃったんなら原点に戻りましょうよ。 俺、今日のカレーすごく好きです」 ね、と念押しすると、カカシは少し明後日の方を見て悩む風に眉根を寄せたが、イルカが笑っているのを見てか、少し笑みを浮かべて「わかった」と頷いた。 「あ、でもこのカレー、すごく美味しいんだけど、カレーうどんにするのは悩ましいので、もう一個定番にして下さい。 あのキノコと豚肉のやつ」 「え、あれ? でもあれもすごく簡単だし、何て言うか……すぐ飽きそうじゃない?」 「そんなことないです! むしろ簡単なのがいいんじゃないですか~! 面倒くさいのなんて定番には合わないんですよ。 あのちょっと和風なカレーはカレーうどんに最適! 俺、カレーも好きだけどカレーうどんもすごくすごく好きなんで、あっち二回作ったらこれ一回くらいの割合がベストだと思う」 勢い余ってまくし立てるとカカシは目を丸くした。 はっと気づいてイルカは鼻筋の傷を掻く。 カカシはそんなイルカを見て吹き出し、「わかった、わかりました」と腹を抱えて笑った。 これできっと迷走も終わるだろう。 たまに違うカレーが食べたくもなるだろうが、その時はまた二人でレシピを見て考えればいいのだ。 異なる人生を歩いてきた二人が、同じ屋根の下で互いの好みや常識を探り合い、妥協点を見つけていく。 そうして出来た「定番」は、何にも代え難い宝物の一つになるだろう。 これからもたくさんそれを作っていけるといい。 そう思いながら、イルカは二人分の食器を持って流しへと向かった。 [newpage] [chapter:おでんの話] 初めて夕飯におでんを出した時、カカシは変な顔をした。 端正な顔が不可思議さで僅かに歪んでいる。 食事を用意してこんな顔をされたことは初めてで、その顔を見てイルカは自分が作ったおでんが何か変だったろうかと鍋に目を落とした。 入っているものはスーパーで買ったおでんの練り物セット(セール品)と、大根と玉子とこんにゃくとはんぺん。 出汁は昆布と練り物についていたおでんの元をベースに、少し醤油と味醂を足した。 今日は休みだったから、大根と玉子に至っては朝から何度か煮込んだので、かなりしっかりと味が染み込んでいる。 見るからにオーソドックスかつ、味には少し自信があるおでんだが、何か変だろうか。 「カカシさん、どうしました?」 「え?」 「おでん、嫌いでしたっけ?」 「あ、いや、全然嫌いじゃないよ。 むしろ好きな方かな」 では何故だ。 カカシは理由もなく変な顔をしたわけではないはずだ。 イルカがさらに質問を重ねると、カカシは「そんなに変な顔してた? ごめんね」と笑った。 「いやぁ、おでんっておかずじゃないと思ってたから、こうやって家のご飯にメインで出されるとは思わなくて」 「……え?」 「え?」 「いやいや、おでんはおかずでしょう」 「そうかなぁ?」 控えめにではあるがカカシは「おでんはおかずである」という意見には決して頷かなかった。 解せない。 ちなみに、その日の食卓はおでんのたんまりと入った土鍋が中央に鎮座し、あとは箸休めの漬物と小皿のサラダをつけた。 サラダをつけただけでも褒めてほしい(イルカだけだと箸休めの漬物すらないことがほとんどだ)と思っていたのにと、やはりイルカは解せない。 「だってさ、外でおでん食べるときにご飯と一緒には食べなくない?」 言われてみれば確かに食べない。 おでんを食べるのはもっぱら屋台で、まれに居酒屋でも食べることがあるが、その時にわざわざ白米を頼むことはまずない。 いやいや、しかし家でのおでんは確かにおかずだった。 イルカは昔を思い出す。 ばかみたいに大きな鍋にこんもりと入った母の作ったおでん。 父は必ず熱燗を所望し、一杯やったあとに白米にがっつくのだった。 「え、じゃあカカシさんは家でおでん食べたことなかったんですか?」 「ないわけじゃないけど」 一人分のおでんを作るのはかえって手間なので、まれに屋台などで持ち帰り用に包んでもらった時は、たいてい他にメインとなる主菜を用意していたとカカシは語った。 たいていは干物の魚か揚げ物のような惣菜。 そうでなければ納豆かしらすあたりで白米を食べるか、面倒だったら米は炊かずに済ませてしまうこともあったとか。 確かにイルカも自分で作るようになったのは内勤になってからだ。 作ると一週間はおでんが続いてしまう。 「おでんがおかずじゃないなんて……やっぱり信じられない!」 「そう?」 あぁ大根に出汁が染みてて美味しいねとカカシは顔をほころばせた。 美味しそうにしているのでそれはよかったのだが、イルカは釈然としない気持ちで箸をつけた。 なお、カカシはその日、イルカが常備しているふりかけを使っていた。 「確かにおでんは白米のおかずじゃねぇなぁ」 咥えた千本を揺らしながらそう言ったのはゲンマだ。 すかさずライドウとコテツが「えぇー!? 」と反論する。 イズモとアオバは肯定も否定もせず笑っているままだ。 二人に問うてみると揃って「あまり考えたことがない」だの「そもそも家でおでんは作らないから食べない」という答えが返ってきた。 「ないわー。 汁の中で卵を割ってちょっと黄身が溶けてる状態で飯をかっこむのがいいのに」 「え、それはちょっとな……」 「マジっすか! ナシなの!? 地獄の釜の蓋が開く……とまではいかないが、十分自分の文化を披露するネタではあるらしい。 興味深いことに、家庭を持つ女性に問うとほとんどが「おでんはご飯のおかず」と答える。 男の場合は様々だ。 やはり影響を及ぼしているのは幼少期の家庭での経験だが、大人になって嗜好が変わるということもなくはない。 未婚か既婚かでも意見も変わってきそうだ。 任務から戻ったカカシにその話をするとなるほどねぇと笑っていた。 今日もおでんである。 さすがにもう一度食べれば終わりそうだ(ちなみにイルカはすでにおでん三日目である)。 カカシは冷蔵庫の中から塩辛を取り出してきた。 やはりおでんをおかずとしては食べないらしい。 「北の方だとね、なんていうのかな……こう、こってりとした味噌をかけて食べるんだよね」 「おでんにですか?」 「そうそう」 あれならそれだけでご飯のおかずになるんだけどねとカカシは笑う。 「味の問題なんですか?」 「そうだけど、え、他の人は違うのかな?」 カカシが言うには、おでんの味がご飯には合わないのだという。 どちらかというと甘めの味付けはご飯のおかずにはちょっとということらしい。 イルカが最後の大根を掬うとカカシは半分頂戴と皿を差し出した。 「そういう意味では肉じゃがとかすき焼きもご飯のおかずじゃないなぁ」 「まじっすか!」 それはイルカの中では全てご飯のおかずというカテゴリだった。 衝撃の事実である。 そういえば肉じゃがを単品で出したことはない。 すき焼きは家でやったことがない。 一度外で食べた時には確か締めとしてうどんが出ており、ご飯は食べなかった。 「え、じゃあ仮に家で肉じゃがとかすき焼きを食べる時はどうするのが理想的なんですか?」 「肉じゃがはもう一品何かあって欲しいかなぁ。 ちょっとしょっぱくてさっぱりとしたものとか。 すき焼きの時はもうご飯は食べなくてもいいね。 ちょっと足りないならほら、外で食べた時みたいにうどんがいいな。 あれは美味しかったよね」 味の好みは万人違う。 当たり前だと思っていたら、今一番近しいと思っている目の前の人にとっては全くもって当たり前でなかった。 カカシのことだから食事を作って出しても決して文句は言わないし、思うところがあれば何も言わずに適当に自分で対処してくれる。 それでも、せっかく同じ食卓を囲むのならば相手の好みを把握してそれに沿うようにしておきたい。 「じゃあおでんは? 別のおかずを出すってのはちょっとなしで」 「そうだなぁ」 ご飯に味がついてるのが一番手っ取り早いんだけどと言われてイルカはがっくりした。 「混ぜご飯はちょっと」 「だよね」 カカシは面白そうに笑って鍋の中に残っていた最後のこんにゃくを掬う。 「だから今みたいに常備のふりかけがあれば十分だーよ」 椀の中の汁をすすって食事は終わった。 「あんまり深く考えなくていいよ。 別に絶対食べられないとかそういうんじゃないし」 カカシの話を反芻していたイルカの様子を見て、カカシはちょっと困ったように言った。 いやいやとイルカは否定する。 別に嫌なわけでも面倒だと思っているわけでもないのだ。 ただ純粋になるほどなぁと思っていただけのことだ。 「カルチャーショックってやつなんですかねぇ。 いやホント、びっくりしたんで」 話してみないとわからないことはまだまだあるのだ。 思い込みってよくないなぁとこっそりイルカは反省した。 「まぁ色々あるよね。 お好み焼きがご飯のおかずの地域もあるし」 「ですよねぇ。 ラーメンとチャーハンやうどんとカツ丼はありなのに、お好み焼きとご飯はちょっとっていうのは結局、住んできた場所の違いだけなんでしょうね」 それからしばらくは任務で出た先で食べたあれこれについて盛り上がった。 今のイルカはめったに外へ出ないので過去の任務の思い出話がメインになってしまうが、戦忍として今も外へ出ることが多いカカシはさすがに話のネタも多い。 今度は西の方へ行くとのことだった。 「いいなぁ、カカシさん。 俺も外に出てご当地のもの食いたいなぁ」 「行こうよ! そうだ、今度手頃な任務があったらサポート役を指名してみるから」 「こんな不埒な理由じゃあ、五代目が許してくれますかねぇ」 カカシは「大丈夫、うまく誤魔化すから!」と力強く拳を握った。 イルカが楽しみにしてますと笑うとカカシもまた任せておいてと笑ってくれた。

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